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おきがるみがる

お気軽&身軽に生活・仕事・趣味を楽しむ雑記ブログです。

大学の歴史学科ではどんな勉強・研究をするのか

歴史学入門

大宰府政庁跡

今日のアイキャッチ画像は大宰府政庁跡です。僕が学生の頃に古代史ゼミのメンバーで行ってきました。

写ってる人は同級生と後輩、教授らです。懐かしいです。


もうすぐ4月です。4月から大学生になるという諸君は期待と不安に胸を踊らせていることでしょう。

サークル活動にアルバイト、友人や恋人とのキャンパスライフ。とても楽しそうですね。

ただ、これらをすべて充実させられるのは一部の限られた人間であると覚悟しておきましょう。大学生になったからって努力も運も無しに彼女ができるかっつーの!


おっと、取り乱してしまいました。話を本題に戻します。

学生の本分は勉強ってことですよ。大学は日本の最高学府なのですから。モラトリアムだとか就職予備校なんて言われますが勉強第一なのです。

いくらサークル内で大恋愛を成功してみせたり、合コンでかわいいナオンをお持ち帰りしてみせたり、ナンパを成功してみせたりしても、勉強できる人間が1番偉い!


いけませんな、またまた話が脱線しちゃいました。何かコンプレックスでもあるのかしらねぇ……。

僕は文学部歴史学科を卒業しました。歴史学科では文字通り歴史学を勉強・研究します。

これから歴史学科に入学するという学生は「いったいどんな勉強をするのだろう」と不安に感じている人がいるかもしれません。

また学生以外でも「大学にまで行って学ぶ歴史ってどんなのだ」と思う人もいるのではないでしょうか。

そこで歴史学科でする勉強とはどんなものかをお教えしましょう。

高校までの歴史科目

高校までの歴史科目と言えば、年号や出来事を覚える暗記科目というイメージが強いでしょう。

必死になって覚えたところで受験か雑学クイズぐらいしか使い道がないと揶揄されがちです。

国の歴史を学ぶことには大きな意義がありますが、それを語っちゃうともう1つ記事ができそうなのでここでは割愛します。

ただ、高校までの歴史科目は国で起こった出来事を知るという作業がそのまま勉強になっているのは事実です。これは歴史が好きな人も同様です。

じゃあ大学の歴史学科ではどういう勉強をしているのか想像できますか? まさか大学でも年号と出来事を暗記しているとでも思ってはいないでしょうね?

大学で学ぶ歴史学

高校までの歴史科目と大学で学ぶ歴史学は大きく異なります。

歴史学とは、人が紙などに書いた文から過去の事実を明らかにする学問です。大学の歴史学科では歴史学の研究方法を学んで実践します。

簡単に言い換えれば、教科書を読んで歴史を知る立場から、歴史を紐解いて教科書を作る立場に変わります。

そもそも歴史科目に限らず、高校までの勉強って研究者が作った料理をただ食べてるだけなんですよね。

食べて味を覚えるだけで作り方はわからないし、作ることさえも考えません。どうやって作るのかを学ぶのが大学での勉強です。

歴史学とは

改めて歴史学について説明します。

人によって文字や文章が書かれた文献や遺物を史料と言います。歴史資料を縮めた言い方で、業界用語と思って頂ければ結構かと。

史料は様々な形態があります。

  • 国家が編纂した歴史書
  • 日記や手紙
  • 文字の書かれた木簡・土器・建物の柱や壁
  • 新聞などの印刷物

時代によってモノは様々ですが、いずれも人が書いた何らかのメッセージであるということが重要です。

史料批判が必要

歴史家は史料に書いてある内容を鵜呑みにしてはいけません。必ず史料批判のプロセスを取らなければなりません。

人が書いている以上、恣意的に事実が改ざんされたり勘違いや書き間違えが生じます。書いてあることをそのまま信じてしまうと、嘘や誤った情報を見落としてしまいます。

そこで史料には偽の情報が混ざっていることを前提に、よく吟味する必要があります。これが史料批判のプロセスです。

その1つの手段として、同じ事柄を取り上げている複数の史料を比較して、書かれている内容に差異が無いか検討します。

史実を証明するには史料を使わなければなりません。仮説は必要ですが妄想では誰も納得しません。歴史学は複数の史料から論理的に史実を導き出す人文科学です。

考古学の重要性

少し歴史学の話から離れますが、考古学の重要性について語っておきましょう。

考古学は地中から掘り出された遺物や遺構から歴史を紐解く学問です。歴史学の親戚みたいな感じですが、歴史を研究する上で歴史学よりも重要性は高いです。

史料には恣意的に偽の情報が書かれることがしばしばあります。それは当時の人、あるいは後世の人に伝えるべく書かれたものです。

現代の人が地中から土器や木簡などの考古遺物を掘り出すとお宝と崇めますが、当時の人から見れば不要になって穴ボコに捨てたただのゴミです。

1000年も後に掘り出されるかどうかもわからないただのゴミにメッセージを託そうとは思わないでしょう。つまり考古遺物は純粋に歴史を伝えてくれるのです。

歴史学で検証された、あるいは歴史学だけでは不十分な仮説を考古学が確かなものにすることだってあるのですよ。

時代の区分

すべての時代に精通している歴史家は少ないと思います。著名な歴史家でも「○世(▲▲時代)を専門とする歴史家」と紹介されますもんね。

大学のゼミでも分け方は時代別です。そして各ゼミにその時代を専門とする教授が着きます。

時代別に専門を分けるのは、時代によって史料の取り扱い方が大きく異なるからでしょう。

すべての時代の史料の種類や読み方を網羅するのはとても大変です。そこで各自の得意とする時代を持っているのですね。

日本史の時代区分

日本史は以下のように時代区分されます。

  • 古代(原始時代から平安時代・院政期頃まで)
  • 中世(武士の台頭・鎌倉時代から戦国時代頃まで)
  • 近世(織豊期から江戸時代・幕末まで)
  • 近現代(明治維新から現代まで)

だいたいこんな感じでしょうか。ちなみに僕は古代史の人間です。

そもそもこの歴史区分はマルクス主義歴史学の考え方を借りたものです。わかりやすいから使っているだけで、厳格に区分をしているわけではありません。

あと、この時代区分を採用しているからといって共産主義軽の大学とは限らないのであしからず。

史料を収集する

史料は多ければ多いほど比較できるので有利です。

そうなると文字を書ける人が限られ、史料の散逸や損壊の可能性が最も高い古代はかなり不利です。

一方で近世や近現代は残っている史料が潤沢ですので、研究の幅が広く取れるでしょう。その代わり膨大な量の史料批判をしなければなりませんがね。

史料が読めなければ話にならない

史料がいくらあっても読めなければ話になりません。

僕が専門とする古代史の史料は全て漢文です。ひらがなは平安時代にならないと生まれませんし、そもそも女性作家による文学ぐらいしかひらがなは使われません。

その代わり、ほとんどの史料が活字になっていたので、筆で書かれた史料を直接読むことはほとんどありませんでしたね。

筆で書かれた史料を使うのは中世から近世でしょう。特に近世はくずし字の読解が必要です。民衆が読み書きに慣れた結果、楷書で書かなくなって文字を崩しまくったんですよね。

近現代は新聞などの印刷物で、内容もカタカナ混じりで取っつきやすそうです。しかしそれでも史料読解や史料批判の技量が必要です。

かつて母校の近現代史の教授が「史料を読めない学生ばかり集まって困る」と嘆いてました。

想像力を膨らませられるか

史料を読んで「はいお終い」では研究は進みません。

史料に書かれている出来事がどうして起こったのかを推理しなくてはいけません。

書かれている内容が編者による偽の情報だった場合はどうしてそれが書かれたのかもを考えなくてはいけません。

書かれている内容が真実だったとしてもそれは表向きのことしか書かれておらず、実はもっと重要な意味が隠されている可能性だってあります。

それを調べるには別の史料を読む必要があります。別の人が書いた同じ事柄を取り上げた史料や、その前後の出来事を記した史料などなど。これを繰り返して真実の歴史を紐解いていくのです。

高校までの歴史科目の知識がここで活かされる

この時重要なのは現代の価値観に囚われてはいけないこと。数百年から数千年前の人と現代に生きている我々とでは、生活習慣や政治システムなどの常識がまるで違います。

今の常識で解釈すると大きな誤解をしてしまったり、重要な部分を見過ごしてしまいます。

現代人の我々が大昔の人々の感覚に近付くには歴史を知る他ありません。先人たちの歴史研究、つまり高校までの歴史教科書で国の情勢や人々の暮らし方を知る必要があります。

ただ、歴史科目をしっかり勉強してきた人もそうでない人も、史料を読む際には丁寧に辞典を引いて用語を調べながら研究を進めること大切です。

特に古代史では漢字一文字に対しても執着しましょう。漢字一文字には多くの意味や解釈が内包されていますので、漢字の意味調べを蔑ろにすると読み下しの辞典で詰みます。

歴史学に必要な技量

これらを統合して、歴史学に必要な技量は

  • 情報(史料など)の収集能力
  • 史料の読解能力
  • 論理的な比較・検討能力(史料批判)
  • 現代の価値観に囚われない想像力

といったところでしょう。

暗記力はあって損はしませんが、無くても歴史学を学ぶことができます。逆に暗記力ばかりでは歴史学の壁にぶつかります。

教科書に載っている年号や出来事を暗記しただけで「歴史が得意」と言っている人は、暗記のスペシャリストであっても歴史学のスペシャリストではありませんので勘違いしないようにしてくださいね。

現実に僕は暗記力は大したことありませんし、歴史用語を聞かれて「何だっけそれ?」となることもしばしばあります。それでも歴史学のプロセスを学んで、卒論は「優」ぐらいの評価はもらいました。

おわりに

歴史学がどんなものかを思いつく限りに書きまくりました。

この記事によって歴史学がとてもおもしろい学問であることを知ってもらえたらならば幸いです。むしろ敷居の高い学問と思われてたりしてw

せっかくなので、僕が大学4年間で学んできた古代史の研究方法と卒論の研究内容についても書いていこうと思います。

4月から歴史学の扉を叩く学生たち、頑張りなよ〜!